2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740218
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
堀田 知佐 Kyoto Sangyo University, 理学部, 講師 (50372909)
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Keywords | 物性理論 / 有機導体 / 強相関系 |
Research Abstract |
二次元異方的三角格子およびカゴメ格子における電荷秩序相近傍の異常金属相についての理論的研究を行った。電荷自由度のみを考慮し、飛び移り積分t、電子間クーロン相互作用Vの異方性(V'/V)をもつtV模型を解析した。三角格子の1/2-filling, カゴメ格子の2/3-fillingにおいては、強結合において相互作用の強いV'方向に電荷が秩序化し、ストライプ状の絶縁体となる。ここに電荷あるいはホールを1個ドープすると、有限の量子揺らぎによってストライプに沿った方向への一体型の分散と、ストライプに垂直な多体型の分散が生じる。これら2種類の異質な分散により、系は異方的な1[○!+]1次元の異常金属状態を形成する。この現象は2つの代表的なフラストレートした格子で見られることから、部分的にフラストレートした格子系において一般的に見られると期待され、また相互作用によって「金属の次元性の制御」が可能になった一例であると考えられる。一方、同じ格子上の古典イジング系においては、熱ゆらぎ(温度効果)によって、系が特異な非局所的擬秩序をもつことを示した。イジングスピンの上下を電荷の有無と対応させると、これは、イジングの強磁性ボンド(局所誘電性)が系全体でコヒーレンスを獲得している状態である。またこの現象は、上記の量子揺らぎのある系における多体分散に類似した状態が、熱揺らぎによっても引き起こされているともみなせる。 手法面では、変分モンテカルロ法と、二次元DMRG法を用いて2次元tV模型を解析し、申請者らが提案した異常量子液体であるピンボール液体の詳細な性質を明らかにした。特に後者ではこれまで数値計算によるアプローチが非常に困難であった2次元格子上のフェルミオン系を、DMRGを用いて定量的に解析する方法についても新たに議論した。
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