2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブロードバンド強磁性共鳴法によるスピンポンピング効果の研究
Project/Area Number |
19740219
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 明啓 Keio University, 理工学部, 助教 (70423035)
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Keywords | ナノ磁性体 / スピン波 / 高周波 / 整流効果 |
Research Abstract |
磁化の動的挙動とスピンが関連する輸送現象との関係を明らかにして、新しい機能性素子等への応用の基礎研究を行うことを目的とした。特に本研究では、自然界には存在しない非平衡ナノ構造を有する人工磁性体における磁化の動的挙動が誘起する輸送現象に注目した。このような系では、境界条件によって、量子化されたスピン波の励起が出現することがよく知られており、この量子化されたスピン波励起状態とスピン伝導との関係を明らかにしたい。 当該年度は、強磁性ナノ細線を面直・面内高周波磁場励起した際に直流電圧が発生する機構について、マクロ・スピン・モデルを用いて定式化し、実験結果を定量的に説明することに成功した。また、スピントルクと高周波磁場による強磁性共鳴信号の出現の違いについても明らかにした。この実験結果とモデル計算によって、微小人工磁性体のスピン波励起を自在に誘起し、その信号を取り出すことが可能となった。また、新奇の微小人工磁性体を作製しても、その磁気・電気的特性を広範囲な周波数領域に渡って測定することが可能となり、新しい物性評価方法として確立した。 さらに当該年度では、スピン波が励起されたときの異常ホール効果を検出することに成功した。異常ホール効果の高周波電流・静外部磁場依存性の測定を行い、前述したマクロ・スピン・モデルにより、実験結果を定量的に説明できることを示した。また、この異常ホール効果を用いて、スピン偏極した直流電流がスピン波励起状態にどのような効果をもたらすかについて定式化し、実験を行った結果、単純な強磁性細線ではスピントルクによる効果は小さいが直流・交流電流とスピン波励起した状態での電気抵抗の振動成分が結合することによって、新しい分光測定が出来ることを明らかにした。
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Research Products
(15 results)