2010 Fiscal Year Annual Research Report
異方的超伝導ナノ構造接合系のジョセフソン効果に関する理論的研究
Project/Area Number |
19740220
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田沼 慶忠 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (90360213)
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Keywords | 異方的超伝導 / 奇周波数ペア / ジョセフソン効果 / 共鳴束縛状態 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて,カイラルp波超伝導体の量子渦芯トンネル分光と奇周波数ペアについての理論的研究を行った。カイラルp波超伝導体の渦芯周辺を運動する準粒子は量子渦によるペアポテンシャルの位相を感じ,渦芯付近においてアンドレーエフ共鳴束縛状態を形成する。アンドレーエフ共鳴束縛状態はトンネル分光のゼロエネルギーピークとして反映される。渦芯周辺におけるペアポテンシャルの空間構造がコピーレンス長程度のスケールで変化し,アンドレーエフ共鳴束縛状態が渦芯付近で局在し,渦芯から遠く離れて消失していく。それと同時に,渦芯において奇周波数を持ったクーパー対が誘起される。渦芯で誘起された奇周波数クーパー対は,ペアポテンシャルのパリティと量子渦の巻き数,トポロジーに関係してくる。これらのペアポテンシャルと奇周波数ペアの空間構造変化を取り込んだ準古典理論による計算方法をこれまでに開発してきた。 従来のカイラルp波超伝導体のトンネル分光はゼロエネルギーピークを観測することができるが,渦芯で誘起される奇周波数ペアの対称性まで判別することはできない。研究代表者は,不純物散乱を考慮した量子渦芯トンネル分光によるカイラルp波対称性と奇周波数ペアの検証方法について研究した。ユニタリー散乱における自己エネルギーの松原周波数依存性,実エネルギー依存性を自己無撞着による数値計算を行い,系統的に調べた。今年度は,ゼロエネルギーにおける局所状態密度と,自己エネルギーの実エネルギー依存性を実装したトンネル分光の計算方法の開発検討を行った。
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