2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740225
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池上 弘樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 河野低温物理研究室, 専任研究員 (70313161)
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Keywords | 2次元電子 / ウィグナー結晶 / コスタリツ・サウレス転移 / 有限系 / 液体ヘリウム |
Research Abstract |
コスタリッツ・サウレス(KT)転移は、2次元系に特有の転移である。このKT転移の典型的な例として、液体ヘリウム表面上の2次元電子系が示すウィグナー結晶転移がある。液体ヘリウム表面には不純物は全く存在しない清浄表面であるため、理想的なKT転移研究の舞台である。本研究では、ヘリウム上の電子系が示すウィグナー結晶転移を舞台として、有限サイズがKT転移へおよぼす影響を明らかにすることを目的とする。そのために、幅1〜20μmの1次元チャネルに閉じ込められたヘリウム上の電子に対して伝導度の測定を行った。 本年度は、幅5μmおよび15μmのチャネルに閉じ込められた電子の伝導度を測定するために微細電極を開発した。これらの電極を用いて抵抗を測定した。15μmのチャネルでは、バルクヘリウム上の電子系でのウィグナー結晶転移温度で抵抗が急激に大きくなるということが観測された。抵抗の急激な増大は、2次元電子系がウィグナー結晶へ転移し、液体表面にdimple latticeと呼ばれる周期的な凹凸が出来たためである。また転移温度がバルクヘリウム上のものと一致するため、15μmのチャネルにおける有限サイズの影響はほとんど無い。それに対し、5μmのチャネルでは、バルクヘリウム上での転移温度よりも高温から抵抗が上昇しはじめるということが観測された。これは、高温ですでにウィグナー結晶になっていることを示唆している。チャネル幅が格子欠陥の大きさの10倍程度であるため、有限幅がKT転移に影響を及ぼしたためであると考えられる。
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Research Products
(3 results)