2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740225
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池上 弘樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 河野低温物理研究室, 専任研究員 (70313161)
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Keywords | 2次元電子 / ウイグナー結晶 / コスタリツ・サウレス転移 / 有限系 / 液体ヘリウム / リプロン |
Research Abstract |
コスタリッツ・サウレス(KT)転移は2次元系に特有の転移である。このKT転移の典型的な例として、液体ヘリウム表面上の2次元電子系が示すウィグナー結晶転移がある。液体ヘリウム表面は不純物が全く存在しない清浄表面であるため、理想的なKT転移研究の舞台である。本研究では、ヘリウム上の電子系が示すウィグナー結晶転移を舞台として、有限サイズがKT転移へおよぼす影響を明らかにすることを目的とする。そのために、幅5, 8, 15μmの3種類の1次元チャネルに閉じ込められたヘリウム上の電子に対して伝導度の測定を行った。 電子系がウイグナー結晶に転移すると液体表面にdimple latticeと呼ばれる周期的な凹凸ができるため、転移温度で抵抗が急激に大きくなるということが知られている。伝導度の測定により、チャネルの幅が細くなるとウィグナー結晶の転移温度が上昇することが観測された。電子密度を系統的に変えることにより、チャネル間の電子数と転移温度の関係を実験的に明らかにした。この結果は定性的に有限サイズにおけるKT転移として理解できる。 また、ウィグナー結晶相において非線形な伝導現象を観測した。入力電圧を大きくしていくと、電子の抵抗は急激に上昇したあと、ある電圧で非常に小さい抵抗値にジャンプするということが観測された。低電圧領域での抵抗の急激な増大は、ウィグナー結晶が共鳴的に表面波を放射した結果、dimple latticeが深くなるために起こり、抵抗値のジャンプはウィグナー結晶がdimple latticeを飛び出すために起こるということが解った。
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Research Products
(6 results)