2007 Fiscal Year Annual Research Report
渦を用いたはばたき飛行の流体力学に基づく理論的・数値的手法による解明
Project/Area Number |
19740228
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯間 信 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (90312412)
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Keywords | 渦運動 / 生物流体 |
Research Abstract |
渦を用いたはばたき飛行の流体力学に基づく理論的・数値的研究を行った。具体的な実績は以下の通りである。 1.Navier-Stokes方程式に従う流体中で運動する物体に働く力を記述する、2次元空間における拡張されたBlasiusの公式を用いて外力下でのはばたき飛行のモデルを解析し以下の結果を得た。 1) はばたきを開始してから有限時間だけ経った場合の状態を解析し、渦度場の双極子成分の時間変化が力の生成に大きな寄与をしていることを明らかにした。 2) また、申請者が開発、研究を続けている水平はばたきモデルにおいて、渦パターンを単純化した理論モデルを作り、発生する力を渦パターンの時間変化と結びつける式を導いた。 3) 外力下で定常飛行を行う昆虫に働く力を計算し、定常飛行の速度をゼロするように外力を増やしていった場合、はばたき運動により発生する力が特異性を示すことを理論的に志した。このことは水平はばたきモデルや、対称はばたきモデル等の数値モデルに見られる特徴的な分岐構造の理解につながる結果と考えられる。 2.水平はばたきモデルの数値計算を行い、はばたき飛行のロバストネスに関して以下の結果を得た。 1) Normal hoveringと呼ばれる飛行のロバストネスを調べるため、はばたき運動中の翼の迎角を制御する関数を変え、速度制御の可能性について調べた。その結果normal hoveringは広いパラメータ範囲で速度制御が可能であり、ロバストであることが分かった。 なお本年度、はばたき飛行の流体力学の研究成果に対して第一回日本物理学会若手奨励賞を受賞し、受賞記念講演を行った。
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