2008 Fiscal Year Annual Research Report
高密度粉体の非線形レオロジーに関する数値的・理論的研究
Project/Area Number |
19740233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
波多野 恭弘 The University of Tokyo, 地震研究所, 特任助教 (20360414)
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Keywords | レオロジー / 粉粒体 / ジャミング転移 / 臨界現象 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、高密度の粉体レオロジー特性を統計物理の観点から理解することである。すなわち、関与する要素を出来る限り制御して単純な法則を抽出するというアプローチをとる。その目的のために粒子シミュレーションをフル活用し、様々な状況下におけるレオロジーを計算的に解明した。その結果明らかになったことは、高密度粉体レオロジーの核心には「ジャミング転移」と呼ばれる臨界現象が存在することである。これは「マクロ粒子系がある閾値密度より上で剛性を獲得する」転移であるが、様々な研究により臨界現象であることが分かりつつある。実際その臨界性を反映して、高密度粉体レオロジーにおいても臨界現象的なスケーリング則が成立することが本研究において見出された。ここでオーダーパラメターはせん断応力であり、有意な変数は密度と流動速度勾配である。臨界密度を境にして流動速度勾配ゼロ(=静止状態)でも非ゼロの応力が残るさまは、強磁性転移において臨界温度を境にして外部磁場ゼロでも非ゼロ磁化が発生することによく似ている。さらにこのスケーリング則に現れる指数は、相関距離の発散を記述する臨界指数に関連付けられる。このことはジャミング転移点が臨界点であることをより強く証拠づけるものである。他方、それらの臨界指数が粉体粒子間の相互作用に依存することも本研究において発見された!このことはジャミング転移の臨界指数が(通常の臨界現象の意味では)普遍的でないことを意味し、ジャミング臨界点の何らかの意味での異常性を示すものである。この事実を明示的に特徴づけたという点において、本研究は高く評価されている。
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Research Products
(17 results)