2007 Fiscal Year Annual Research Report
粉体気体系の非平衡定常状態における振動応答と統計則
Project/Area Number |
19740236
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
礒部 雅晴 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 助教 (80359760)
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Keywords | 粉体振動層 / 非平衡定常状態 / 輸送現象 / 統計則 / 分子動力学法 / 粉体振動層 / ランジュバン方程式 / 微小重力 |
Research Abstract |
粉体気体系は局所非平衡系の統計力学を推進する理想系として理論的発展が大きく期待されている.また,微小重力環境下における粉体気体系の研究は,月面や微惑星上における粉体の輸送や制御の技術確立につながる工学的にも重要な研究課題である.振動することにより生じる流動化やパターン形成など粉体の特性を利用した新産業の創生など,次世代の宇宙産業にも大きな貢献が期待される. 本研究では,粉体気体系の非平衡定常状態における新しい振動応答理論と微小重力環境をも視野に入れた新しい統計則の探求により,理論とシミュレーションの双方からそれらを精密化させることを主目的としつつ,微小重力環境も含め粉体気体系の振動応答や輸送に関する新しい基礎的方法論を提案しそれを発展させることを目標としている. 平成20年度は本研究計画の初年度であり,(i)「1次元粉体振動層における基礎的方法論の確立」をめざし,共同研究者と振動応答理論とシミュレーションの比較を精密化させた.これらの研究成果は原著論文や国際会議で発表した.また,(ii)粉体気体(理想粉体気体)系の新たな輸送理論構築を視野に入れ,「2次元剛体球系のロングタイムテール問題」を考察した.1960年代中頃,AlderとWainwrightは剛体球系分子動力学シミュレーションにより速度自己相関関数のべき的な長時間緩和を発見した.この結果,Green-Kubo公式から得られた拡散係数が対数発散することから大きな問題となった.本研究ではシミュレーションの立場から(剛体球系では)世界最大規模となる100万粒子系の大規模計算を遂行した結果,中密度では従来のべき緩和とは異なり,それよりも速い緩和を得た.これらの成果は,原著論文,特別講演などで発表した.
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Research Products
(16 results)