2007 Fiscal Year Annual Research Report
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19740240
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
狐崎 創 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 助教 (00301284)
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Keywords | 乾燥破壊 / 亀裂進展速度 / 炭酸カルシウムペースト / 澱粉ペースト / レオロジー / 柱状節理パターン |
Research Abstract |
当該年度は炭酸カルシウムとコーンスターチの2種のペーストを用いて実験を行い乾燥による遅い体積収縮で生じる亀裂過程を調べた。一定温度、低湿度条件で質量を計測しながら厚さ一定のペーストを乾燥させ準2次元的な破壊パターンが形成される際の亀裂進展速度を画像解析により得た。 炭酸カルシウムペーストに関しては亀裂速度は毎分0〜50mm程度と非常に遅い。実験の結果、亀裂速度は(1)蒸発速度の凸関数であること、(2)グリセリンを混合して間隙流体の粘性を上げると大きく減少すること、(3)試料の厚さ依存性が小さいことがわかった。特に(1),(2)はこの破壊形成力液体の減少に従属する準静的過程ではなく、蒸発によって発生した内部応力を駆動力とする粘性散逸過程であることを示唆している。 コーンスターチペーストに関しては亀裂進展が炭酸カルシウムと比較して100〜1000倍も大きく、試料の厚さ依存性も異なることだわかった。澱粉粒子は典型的なコロイド系である炭酸カルシウム粉末に比べて粒子径が大きくまた荷電相互作用が小さいため、物性の違いが破壊速度に大きく反映した結果である。 また本研究と関連して澱粉ペーストの乾燥破壊の数理モデルの共同研究を行っている。上記の初期の破壊とは別に澱粉ペーストの乾燥の後期段階では、表面から内部に向かって進行する3次元的破壊が柱状節理様のパターンを作ることが知られいる。共同研究では乾燥過程における水分の非線形拡散と弾性変形を考慮した数値モデルを提案してパターンを数値的に再現した。
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