2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740240
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
狐崎 創 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 助教 (00301284)
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Keywords | 乾燥破壊 / 亀裂進展 / 炭酸カルシウムペースト / 動的破壊 / レオロジー / 柱状節理パターン |
Research Abstract |
本研究では流体を含む粉体のレオロジーと破壊過程の関連を調べるために、乾燥による非常に遅い体積収縮によって生じる亀裂成長過程を調べる実験を行ってきた。初年度の炭酸カルシウムペーストを用いた実験から、ペースト中の亀裂の成長速度は(1)乾燥速度の非線形な増加関数で(2)グリセリンの混合で大きく減少することがわかり、応力増加と粘性散逸が亀裂成長過程に重要であることがわかったが、(1)は乾燥収縮に合わせて亀裂、が成長する準静的過程との区別が困難で、明快な結論を出すには粉体の内部状態に関する手掛かりが不足していた。 当該年度は中原らによって近年発見された記憶効果を利用し亀裂方向を揃えることでより高い精度で上記の結果を確認するとともに、乾燥中の層厚および応力変化を実測した。結果、(3)亀裂は乾燥による空気の侵入が始まる以前に生じること、(4)応力は乾燥とともに増加しその値は体積含水量で決まることが明かになった。 (4)は乾燥速度に依存しない一定の張力状態で亀裂が成長していることを示しているので、ペースト中の亀裂成長が動的散逸過程であることを支持する。従って(1)は応力そのものよりむしろその増加率が亀裂の駆動力となっていることを意味する。(1)及び(4)は通常の粘弾体では両立しないのでペースト破壊に特有である。(3)から示唆されるようにペーストは破壊時の流動性が大きいため、これは塑性変形が反映した結果と考えられる。 これらの研究成果は学会、研究会および論文で発表した。またこれ以外にアクチュエータで変形を与えて破壊させるなどいくつかの試験的な実験を試みている。関連する共同研究である澱粉ペーストでの角柱状の三次元亀裂成長に関しては解説記事などに成果をまとめた。
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Research Products
(9 results)