2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740241
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
御領 潤 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特任講師 (70365013)
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Keywords | chiral p-波超伝導 / 自発ホール伝導度 / トポロジカル不変量 / 不純物効果 / トポロジカル絶縁体 / 逆量子スピンホール効果 / スピンゲージ場 / くり込みと有効理論 |
Research Abstract |
平成20年度前半には、時間反転対称性を自発的に破るカイラルなp-波超伝導体の、ゼロ磁場で誘起されるホール伝導度の性質の詳細を明らかにした。この自発ホール伝導度には、静的外場に対してrelevantに効く部分と、動的外場に対してrelevantに効く部分の二つのパートにわかれることを明らかにした。静的応答部分は超伝導ギャップ関数の波数空間におけるトポロジーと密接に関連するため、系のintrinsicな性質を反映する部分と言える。それに対し、動的応等部分は不純物散乱を媒介として現われるため、extrinsicな起源を持つと言える。この構造は、強磁性体の異常ホール伝導度がintrinsic partとextrinsic partに分かれることと類似している部分があるように考えられる。この成果はPhysical Review B誌に掲載された。 平成20年度後半には、時間反転対称なトポロジカル絶縁体(量子スピンホール系)の電磁場に対する有効理論について、ゲージ理論の立場からの記述を試みた。電磁気ゲージ場とは別にspinと結合するゲージ場を導入することにより、スピンカレントに対する拘束条件が導かれる。すなわち、スピンカレントが有限の状況を議論出来る。フェルミオンとスピンゲージ場を積分して電磁場に対する有効理論を求めると、スピンが保存する系に対しては、電磁場が質量を持つことが示され、また、全スピンカレントと発生するホール電圧は量子化された伝導度で関係付けられる、すなわち、逆スピンホール効果が導かれることを示した。電磁場が質量を持つことは、超伝導体と同じような電磁気応答を示すことを意味する。実際マイスナー効果を特徴づける磁場侵入長が求められる。スピン非保存の系に対する知見も得られた。現在論文を執筆中である。
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