2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740243
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松下 勝義 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 産総研特別研究員 (60422440)
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Keywords | 磁壁運動 / スピントルク / 磁壁抵抗 / LLG方程式 |
Research Abstract |
最近、磁壁に電流を流すと電圧に非常に特徴的周波数をもつ振動が現れることが実験的に明らかにされた。この研究により磁壁がマイクロ波発信源の材料として用いられる可能性が示され注目されている。しかしながら磁壁がなぜ電圧振動を引き起こすのかについてはよく分かっておらず、磁壁が本当に関如しているのかについて疑義があった。我々はこの現象に本当に磁壁がかかわっている可能性を明らかにするため、磁壁の電流下ダイナミクスを調べた。我々はこの目的を達成するためにLandau-Lifshitz-Gilbert方程式を数値的に解く磁化構造シミュレーションプログラムと、電流、スピン流を拡散方程式を解いて求めるプログラムを開発、それらを統合し電流下における磁気構造ダイナミクスを調べるシミュレーションプログラムを完成した。シミュレーションの果わかったことはスピン流が引き起こす磁壁上のスピントルクを発生させその効果でコヒーレントな磁化回転を引き起こすことであった。そのコヒーレントな回転はもし系に磁気的な異方性がなければ磁壁のNeelとBloch磁壁構造を含む内部0(2)回転自由度での内部自由度回転運動に対応する。一方双極子相互作用や磁気異方性などでNeelとBloch磁壁の縮退は一般に解かれているためその内部自由度はZ_2xZ_2へ落ちてしまう。磁壁の集合自由度模型で見るとこれは磁壁の厚さがNeelとBlochで異なる状況に対応する。磁壁の作り出す抵抗はその厚さで決まるためNeelとBloch磁壁では抵抗は異なることになる。結果として先に述べた内部自由度回転運動から磁壁の厚さが周期変化するブリージングモードが発生し、抵抗が振動する。一定電流下での実験ではこれは電圧振動に対応する。この結果は実験で磁壁が本質的に電圧振動に関与している可能性を示したことになる。
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