2008 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを用いた硬X線発生の高効率化と機構の解明
Project/Area Number |
19740246
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 泰彬 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (00393819)
|
Keywords | 放射線・X線・粒子線 / パルスX線 / レーザープラズマ / 超短パルスレーザー / カーボンナノチューブ / CNTアレイ / X線診断 / レーザー誘起X線 |
Research Abstract |
本研究では、超短パルスレーザー誘起硬X線源の高エネルギー化(短波長化)および高輝度化を目指し、表面構造ターゲットを用いたレーザー吸収効率の改善と励起された高速電子のエネルギーを制御することで、硬X線領域での発生効率の向上を実験的に明らかにすることを目的とした。 レーザー誘起X線の高エネルギー化においては、近年、高密度物質のイメージングや放射線生物学へなどへの応用が期待されるなどその重要性が増している。これまで物質科学分野における超高速X線診断に応用されてきた実効的なX線エネルギーは高々10keV程度であるが、医療用に用いられるX線管の実効エネルギーは例えば軟組織用でも15keV以上であることから、本研究では適当な金属ターゲット(Cu、Mo、Ag)を用いることでおおよそ10keVから20keVのエネルギー領域を対象とした。表面構造ターゲットとしては軟X線領域で実績のある垂直配向カーボンナノチューブ(CNT)アレイコートを採用し、比較実験を行った。X線の発生にはフェムト秒レーザー光を10^18W/cm^2の強度集光で照射し、昨年度整備したX線CCDおよび小型電子スペクトロメーターにより放出するX線及び電子線を計測した。 その結果、(1)コートなしターゲットにおいては、レーザー集光点をオフセットし高速電子の放出が抑制される条件下でも効率的にX線が放出されること、(2)CNTアレイコートによるX線増強効果は見られないものの、CNTアレイがアブレーション閾値を低下させること、(3)特性X線へのエネルギー変換効率は10keVから20keV領域にわたって10^-4に達することができるなど、高エネルギー化および高輝度化へ向けた有用な知見を得ることができた。
|