2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740248
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
東條 賢 Gakushuin University, 理学部, 助教 (30433709)
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Keywords | 原子 / 量子エレクトロニクス / 低温物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
光トラップ中に保持されたBECを使った内部自由度を有する量子渦生成のためにはまず内部自由度をもつBECの定量的理解が必要である。特に本研究の特徴であるスピン2BECでは上準基底状態を利用するため、スピン状態間の非弾性衝突を理解しなければならない。しかしこの非弾性突がスピン成分に依存するか非依存なのかは実験的および理論的にもよく知られていない。本年度スピン状態間の非弾性衝突ダイナミクスの解明を目指した。非弾性衝突レートを求める実験では、研究分野で有用な破壊測定の性質上BECの原子数について高精度な再現性が求められる。このため験制御装置の改善、実験装置の温度制御および光トラップの改良によって、BEC原子数の再現性を上できた。 実験においてまず|F=2,m_F=+1>-|F=2,m_F=-1>を1対1の原子数比で用意したときの時間発展を磁場3Gにおいて観察した。結果スピン交換衝突が生じず、理論で予想されたように|F=2,m_F=0>の非弾性衝突レートと同程度となった。他のスピン成分間衝突の実験も行い、ほぼ定量的な一致を得たことにより、非弾性衝突がスピンに依存することで説明できることがわかった。一方、|F=2,m_F=+2>-|F=2,m_F=-2>やF=2, m_F=+1>-|F=2,m_F=-2>の実験においては理論の予想と有意な差を生じていたが、2成分BECの異なる重心運動によって説明できうることを示した。 また超微細構造準位の異なる2成分間|F=2,m_F=-2>-|F=1,m_F=-1>のダイナミクの観測も行った。この系では同じF=2同士のBECとは異なり、F=2とF=1BEC間でお互いを退け合う傾が見られた。これらの重心運動は磁場勾配によって説明でき、2成分BECの重心運動の定性的な理解を得た。磁場の条件を変えて同様の観測を行うと、過渡的な状態でドメイン構造が新たに見られた。
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