2007 Fiscal Year Annual Research Report
多重極線形イオントラップによる新しいタイプのクーロン結晶生成とその応用
Project/Area Number |
19740249
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡田 邦宏 Sophia University, 上智大学・理工学部, 助教 (90311993)
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Keywords | イオントラップ / クーロン結晶 / カルシウムイオン / レーザー冷却 / 共同冷却 |
Research Abstract |
平成19年度前半は,レーザー冷却実験に適した小型・冷却高周波8重極線形イオントラップの設計・製作と,その動作確認を行なった.完成したトラップ装置と現有の半導体レーザーシステムを用いることによって,Ca^+イオンが結晶化したことを示すレーザー誘起蛍光スペクトルの観測に成功し,本研究の目的であるCa^+クーロン結晶が生成されることを確認した.観測した蛍光スペクトルの線幅からCa^+イオンの到達温度は10mK以下であると見積られた。一方, Ca^+クーロン結晶の長時間維持を実現するため,温度安定化光共振器を用いた397nm及び866nm半導体レーザーの周波数安定化システムを製作した.周波数安定化によって最大で約10分間ほどクーロン結晶を維持できることが確認できた.年度後半では,冷却CCDカメラと撮像倍率6倍のレンズシステムを組み合わせることによってCa^+クーロン結晶の画像観測を試み,それに成功した.高周波8重極線形イオントラップにおけるレーザー冷却イオンのクーロン結晶の画像観測は本研究において初めて行われた.クーロン結晶の形状はシミュレーションで予測されたようにトラップパラメータによって敏感に変化することが確認された.また,少なくとも1000個程度のイオン数から構成される巨大なクーロン結晶の画像観測にも成功した.しかし,トラップポテンシャルの形状を反映した結果と考えられる非対称な形状をもつクーロン結晶や,当初の予測とは異なる形状のクーロン結晶が観測されており,今後その原因を突き止める必要がある.また,リング型クーロン結晶を生成するための実験条件の探索も今後の課題である.
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Research Products
(1 results)