2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740250
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
彦坂 泰正 Institute for Molecular Science, 極端紫外光研究施設, 助教 (00373192)
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Keywords | イオン-分子反応 / 分子クラスター / 同時計測実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、空間に配向した分子に対して衝突方向と衝突エネルギー(0-5eV程度の低エネルギー)を制御したイオン-分子反応実験を実現するための実験手法を確立することである。この手法の確立により、イオン-分子反応の立体ダイナミクスを解明することが可能となる。ここでは、反応の出発点として分子クラスターを利用することにより、配向した分子とイオンの衝突実験を行うことを企画している。具体的には、光イオン化で放出された光電子を高分解能分光するとともに、このとき生成する解離イオンの運動エネルギーを観測する。昨年度の研究において、この電子・イオン同時計測法が分子の2価イオン状態の解離ダイナミクスの研究にも有用であることを見出した。特に、高い内部エネルギーの2価イオン状態の解離について、高感度で観測できることが分かった。今年度はこの特徴を利用して、2価イオン状態の異性化反応のダイナミクスを観測することを試みた。測定対象は、高速で分子内を移動できる水素原子を含むことにより、異性化反応が容易いと予想されるアセチレンに設定した。アセチレンのオージェについて特に異性化反応に因らなければ生成し得ないイオン対に着目して、電子・イオン同時計測測定を行った。同時計測から、このようなイオン対は特定の2価イオン状態の生成にのみ対応していることが見出され、これらの2価イオン状態において異性化反応が特徴的に起こっていることが分かった。
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Research Products
(3 results)