2007 Fiscal Year Annual Research Report
単一荷電高分子鎖のダイナミクスにおける内部摩擦の効果
Project/Area Number |
19740256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 能宏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (60334249)
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Keywords | 荷電高分子鎖 / 内部摩擦 / 1分子計測 / 光ピンセット / DNA |
Research Abstract |
DNAは生体内で階層的に折れ畳まれており、遺伝子発現や複製時には凝縮構造がほどかれる。高分子鎖の変形に対し、いかなる要因がいかなる時間スケールで支配的なのか明らかにすることは、高分子物理学のみでなく生物学、生物物理学においても重要な課題である。本研究の目的は、単一荷電高分子鎖に生じる内部摩擦の要因を解明し、鎖のダイナミクスにおける内部摩擦の効果を定量的に明らかにするごとである。 光ピンセットを用いて多価陽イオン存在下で凝縮したDNAの一分子伸長実験を行った結果、伸長時のエネルギー散逸が凝縮相の内部摩擦に起因していることを明らかにした。エネルギー散逸の速度依存性の結果をもとに、伸長による力学的脱凝縮過程をKramersタイプの二状態遷移モデルでモデル化し測定結果を定量的に説明できることを示した。さらに、DNAの堅さが状態間の遷移率に強く影響していることを示した。 DNA結合蛋白質がDNA上を一次元的に拡散する際には、DNA鎖自身の熱運動及び相互作用を介して生じる実効的摩擦が重要な意味を持つと考えられる。これらを明らかにするため、DNA鎖の熱運動を制御し、DNA及び結合蛋白質の運動を同時観測するための装置の開発を行った。結合物質の観測に金ナノ粒子によるラベルが有効であることを確認し、金ナノ粒子の散乱光及びDNAの蛍光を同時観測するための測定系を構築した。さらに1/30sec程度で実時間画像解析が可能であることを確認した。
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