2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド両親媒性分子溶液の階層構造転移とその構造解析および粘弾性挙動の研究
Project/Area Number |
19740262
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀田 篤 Keio University, 理工学部, 准教授 (30407142)
|
Keywords | ソフトマテリアル / 両親媒性分子 |
Research Abstract |
ペプチド両親媒性分子(PA)は親水性のペプチド部位と疎水性のアルキル部位からなる。そのPAの合成においては, さまざまな長さのアルキル基をもつ合成を試み, C12, C16, C18を有するPAを作った。その後, PAをMALDIで確認しその分子量を調べ, バッファーに溶かし水溶液とした. そのPA水溶液がゾルーゲル転移をすることを粘弾性試験および原子間力顕微鏡(AFM)によりひも構造を確認し、さらにはその転移に着目し, 動的粘弾性測定により構造転移におよぼすPA濃度の影響を分析した.温度一定(20℃)におけるゾルーゲル転移点とせん断速度, また粘度の関係を濃度を40μMから200μMに変化させて実験をした, 結果は40〜120μMにおいては低せん断速度でゾルからゲル構造へ転移し, 120μM以上ではそのせん断速度が一定となること, そして濃度増加に伴い粘度が上昇が起こることが明らかとなった. つづいてPAの実験結果をもとに, 計算機によりそのメカニズムの基礎的な考察を行った. PA分子の自己集合構造に着目し, 濃度と温度が自己集合構造およびダイナミクスに与える影響を, 散逸粒子動力学法を用いて解析した. 温度変化が水-親水(ペプチド)基間の相互作用の変化に寄与するものと考え散逸粒子のモデル化を行ったところ, 実験で観察された球状-ひも状ミセル転移に要する時間の温度依存性を, 定性的ではあるが実験の温度・時間傾向にかなり合致させて再現することに成功した. これよりペプチドの水素結合能の温度依存性が, ペプチド両親媒性分子の自己集合挙動を決定づける重要な因子であることを示すことができた.
|
Research Products
(3 results)