2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740265
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
石原 吉明 National Astronomical Observatory of Japan, RISE月探査プロジェクト, 研究員 (80400232)
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Keywords | インフラサウンド / 微気圧変動 / 固体・海洋・大気カップリング / 極地 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き南極昭和基地に設置したインフラサウンド観測装置を用いて、インフラサウンドの連続観測を実施した。また、既に取得したデータの解析を行った。観測データは、通信衛星を用いたIP回線により国内から極地研究所のネットワークを介してほぼリアルタイムに取得可能な状況が維持されている。 2008年度に取得したデータ全てに対して、周波数解析を行った結果、昭和基地において、すでに地震観測で検出されている海洋起源と思われている常時微動と対応して、同じ周波数帯に連続的に到達する微気圧変動(インフラサウンド)の存在が確定した。また、この微気圧変動は励起されるパワーが時間変化している事が見いだされた。これは、昭和基地近くのリュッツォホルム湾付近の海氷の消長に伴う大気・海洋カップリングの変化によると解釈できる。また、数ヘルツ程度の周波数領域に、トーン構造を持つシグナルが見いだされており、過去の氷床すべり時の地震記録とのアナロジーから、これは氷の移動に伴う振動により励起されたシグナルと思われる。さらに、これまでに知られていなかった、インフラサウンドと可聴域の音波の境界の周波数領域においても、トーン構造をもつ継続時間の長い波が検出された。また、エピソディックなインフラサウンドも検出されている。 今後さらに地震観測データ等と比較しながら解析を行っていくことで、励起源の特定に至れると考えている。昭和基地においてさらに1年間のインフラサウンド連続波形記録が得られ、これまで知られていなかった波動が検出された事、固体・海洋・大気カップリングにおける波動伝播の基礎データが得られたことが特筆すべき成果である。
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