2008 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯のフルイドの相関係の決定及びフルイドとマントル鉱物との反応の直接観察
Project/Area Number |
19740270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三部 賢治 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (10372426)
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Keywords | 沈み込み帯 / ダイヤモンドアンビル / 高温高圧 / 第2臨界端点 / コランダム / ルビー / サファイア |
Research Abstract |
日本列島の様な海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む地域では, 海洋プレートの沈み込みにともなう温度圧力の上昇に起因する含水鉱物の脱水分解反応により生成したフルイドが, その地域での地震や火山活動を引き起こす原因と深く関わり合いがあると考えられている. そこで, 高温高圧下でのフルイドの物理化学的性質や相平衡関係を決定することが, 地球進化や地球内部現象を解明する上で重要となる. 今年度は主に, 沈み込み帯のフルイドの相関係の決定を行った. 外熱式のダイヤモンドアンビル高温高圧発生装置を顕微鏡下にセットし, 高温高圧状態のサンプルを直接観察し. 相平衡関係を直接決定した. サンプルとしては水とシリケイトをダイヤモンドアンビル中にセットし, シリケイト成分には, 「沈み込み帯のフルイド組成とはこの様なものであろう」と過去の研究で提案されている, Si-Al-alkaliに富む流紋岩的な組成のガラスを用いた. ガラスは円柱状のものを作成し, この円柱と金属ガスケットのサイズをコントロールすることにより, 出発物質中の含水量をコントロールした. これにより含水量を含めて出発物質中の全ての化学成分をコントロールし, 正確な相平衡関係の情報を得ることが可能となった. 温度圧力を変化させて実験を行い, フルイドと平衡共存する固相は高温高圧状態のままでの顕微ラマン分光により相の同定を行った. 実験の結果, 過去の同様な化学組成の系における急冷実験では未解決だった第2臨界端点近傍でのこの系の正しい相平衡図を決定することに成功し, Si-Al-alkaliに富む沈み込み帯のフルイドからは, 第2臨界端点より高圧のひろい温度圧力領域でコランダムがリキダス相として晶出可能であることが判明した. 本研究の成果により, 世界各地のアルカリ岩中に産するルビーやサファイアといったアルミナを主成分とする宝石の生成条件が明らかになりつつある.
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Research Products
(4 results)