2007 Fiscal Year Annual Research Report
原生代初期における全球凍結イベントの古地磁気学的研究
Project/Area Number |
19740273
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉原 新 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 助教 (50361944)
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / 全球凍結 / 原生代初期 / 古地磁気 |
Research Abstract |
カナダ・ヒューロニアン地域及び米国・マーケット地域において約21-22億年前の生成年代をもつ堆積岩類(石英砂岩・ドロマイト・ダイアミクタイト等)を採取した。米国・マーケット地域で採取したダイアミクタイトは原生代初期に起こったとされる大規模氷期の氷河堆積物と考えられているものであり、石英砂岩とドロマイトはその直上の層準に堆積しているものである。これら一連の岩石から古地磁気学の手法によって古緯度を復元し、氷河の到達緯度から原生代初期の全球凍結仮説を検証するのが試料採取の主な目的である。 平成19年10月より平成20年3月まで、米国・カリフォルニア工科大学、地質・惑星科学部門に滞在し、ジョセフ・カーシュビンク教授の協力のもと、同古地磁気研究室において、採取した試料の古地磁気・岩石磁気測定を実施した。同研究室の所有する超伝導磁力計は国内の研究機関に設置されている同様の機器に比べて一桁以上高い非常な高感度を誇るものであり、極めて微弱な残留磁化しか持たない本研究の岩石試料の精密な古地磁気測定には上述の磁力計の使用が欠かせない。二次的な磁化成分を除去するための段階熱消磁実験の結果、現在のところ、米国マーケット地域の石英砂岩及びドロマイト試料から比較的浅い伏角を示す古地磁気記録が得られている。磁化を担う主要な磁性鉱物はマグネタイトおよびへマタイトである。これらの実験結果は氷河堆積物直上の層が比較的低緯度地域で堆積したことを示唆している可能性がある。これらの残留磁化が約21-22億年前に獲得された初生的なものがどうかを明らかにするために、今後いくつかの野外テストを試みる予定である。
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