2008 Fiscal Year Annual Research Report
原生代初期における全球凍結イベントの古地磁気学的研究
Project/Area Number |
19740273
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉原 新 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 助教 (50361944)
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Keywords | 全球凍結 / 原生代初期 / 古地磁気 / 古緯度 / 国際研究者交流 / アメリカ |
Research Abstract |
原生代初期のヒューロニアン氷期における最後の大規模氷河堆積物の形成場の古緯度を復元する目的で、これまで古地磁気データの得られていなかった米国ミシガン州のMarquette Range累層群の古地磁気研究をおこなった。Marquette Range累層群のChocolay層群は、カナダのHuronian累層群のCobalt層群と対応付けられており、その最下部に相当する氷河堆積物であるEnchantment Lake累層は約23億〜21億年前というU-Pb年代をもつ。前年度に採取したEnchantment Lake累層のダイアミクタイトとその上位に堆積するMesnard累層の珪岩およびKonaドロマイトについて、ジョセフ・カーシュビンク教授の協力のもと、米国・カリフォルニア工科大学において古地磁気・岩石磁気測定を実施した(平成20年4月〜9月)。全ての試料に対して段階熱消磁実験をおこなったところ、大多数の試料が680度近傍でアンブロックされる非常に安定な残留磁化を保持していることが分かった。IRM獲得実験、ARM消磁実験などの岩石磁気測定の結果から推定される主要な磁性鉱物はマグネタイトとヘマタイトであるが、この両者がそれぞれ異なった磁化成分を担っているかどうかについては熱消磁実験からは明らかにできなかった。三つの累層とも、約500度以上の高温成分に特徴的残留磁化を分離することができ、傾動補正後の平均古地磁気方位から得られた古緯度の推定値は約11〜21度であった。しかし、これらの特徴的残留磁化方位は熱接触テストおよび褶曲テストのいずれにも合格せず、二次的な残留磁化である可能性も高い。残留磁化の起源、獲得年代については今後のさらなる検討が必要である。
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