2009 Fiscal Year Annual Research Report
原生代初期における全球凍結イベントの古地磁気学的研究
Project/Area Number |
19740273
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉原 新 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 助教 (50361944)
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Keywords | 全球凍結 / 原生代初期 / 古地磁気 / 古緯度 |
Research Abstract |
未だ解明されていない点が多い原生代初期の全球凍結(Snowball Earth)仮説(約24.5-22億年前)の検証を目的として、古地磁気学の手法によるヒューロニアン氷期における大規模氷河堆積物の形成場の古緯度復元を試みた。用いた試料は、平成19年度に採取をおこなった米国ミシガン州のMarquette Range累層群に属する堆積岩類である。Marquette Range累層群のChocolay層群は、カナダのHuronian累層群のCobalt層群と対応付けられており、その最下部に相当する氷河堆積物であるEnchantment Lake累層は約23億~21億年前というU-Pb年代をもつ。平成19年度および平成20年度に、ジョセフ・カーシュビンク教授の協力のもと、米国カリフォルニア工科大学において古地磁気・岩石磁気測定を実施したEnchantment Lake累層のダイアミクタイトとその上位に堆積するMesnard累層の珪岩およびKonaドロマイトについて、結果の詳細な解析をおこなった。IRM獲得実験、ARM消磁実験などの岩石磁気測定の結果から推定される主要な磁性鉱物はマグネタイトとヘマタイトであり、三つの累層の大多数の試料において約500度以上の高温成分にコンシステントな特徴的残留磁化を分離することができる。しかし、これら三つの累層から得られた平均的な古地磁気方位とそれを貫くより若い年代の玄武岩質貫入岩が示す方位との間に有意な差が見られないこと、Konaドロマイト層について実施された摺曲テストが明瞭な不合格を示すことから、三つの累層が示す特徴的残留磁化は、変成時に獲得された二次磁化であると結論づけられる。その獲得時期については、今後の検討課題である。
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