2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740276
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 洋一 Kobe University, 理学研究科, 准教授 (70332757)
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Keywords | 太陽系外惑星 / 光学赤外線天文学 / 惑星大気 |
Research Abstract |
日本が打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」を用いて、太陽系外惑星HD204958bの大気の検出を試みた。この太陽系外惑星は、セカンドトランジットと呼ばれる現象を起こす。これは惑星が周期的に中心の恒星の背後に隠れることである。従って、セカンドトランジット中のスペクトルには恒星のスペクトルしか含まれていなく、その他の時のスペクトルと比較することによって、太陽系外惑星の大気に由来するスペクトルを抽出することができる。観測は近赤外カメラIRCの分光モードを用いて行った。波長範囲は2.5ミクロンから5ミクロンで、波長分解能は135である。この惑星は周期3日程度で公転しており、その有効温度は1000K程度と予想されている。従って放射のピークが3ミクロン付近にあり、観測波長域では恒星とのダイナミックレンジが最も小さい。また1000K程度の天体のスペクトルは3ミクロンに深いメタンの吸収があり、このバンド吸収の検出を目指した。観測は4回に分けて行った。各セットは51秒積分を8回撮影している。あかりチームが打ち上げ前に取得したフラット画像のS/Nが非常に不足していたことや、波長校正が正確にできないなどの困難があり、解析は困難を極めた。解析の結果、太陽系外惑星の大気に起因するメタンの吸収を得ることはできなかった。
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