2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740277
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大野 宗祐 Okayama University, 地球物質科学研究センター, 助教 (80432631)
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Keywords | 天体衝突 / 惑星進化 / 惑星形成 / 環境変動 / 大量絶減 / 衝突脱ガス / 化学反応 / ガス分析 |
Research Abstract |
本年度は、東京大学新領域創成科学研究のレーザー銃を用いた実験と、物質材料研究機構の一段式火薬銃を用いた衝突実験を行った。 東京大学新領域創成科学研究科では、方解石と硬石膏を標的試料として用いたレーザー銃の衝突脱ガス実験を行った。その結果、東京大学のレーザー銃で実現可能な実験条件で、方解石、硬石膏のどちらからも衝突脱ガスによる気体成分放出が検出された。方解石、硬石膏のどちらについても、これまでの試料回収コンテナを用いた衝撃回収実験よりも小さい衝撃圧で脱ガスが起こりはじめることがわかった。これは、これまで使われてきた試料回収コンテナのせいで温度・圧力条件が天然の衝突と違う条件になってしまうこと、放出されるはずのガスがコンテナで封入されているために出て来られない、などの理由によるものと考えられる。さらに、方解石の衝突脱ガスで生成する気体の化学組成を測定した。その結果、これまで二酸化炭素が主成分であると予想されていたのと大きく異なり、一酸化炭素が脱ガス生成気体の主成分であることが分かった。一酸化炭素は、大気中の光化学反応等を引き起こし結果的に二酸化炭素放出時よりも強力な温室効果を起こす可能性がある。例えばK/T事件の際に衝突地点付近の炭酸塩岩から一酸化炭素が大量に放出され、衝突後にこれまで考えられてきたよりもずっと強力な温室効果が引き起こされた可能性がある。 また、物質材料研究機構では一段式火薬銃を用い、試料コンテナを用いた衝撃回収実験を行った。新しい試料コンテナを開発し、これまで火薬を用いた銃では困難であった衝突生成ガスの回収に成功した。この手法を用いれば、世界で初めての衝突脱ガス生成気体の詳細な分析が可能になる。
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Research Products
(2 results)