2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740279
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
稲葉 知士 Waseda University, 国際教養学術院, 講師 (30409718)
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Keywords | 惑星形成・進化 / 理論天文学 / 計算物理学 |
Research Abstract |
本研究では、巨大ガス惑星形成の新たなモデルの提案を行った。この新たなモデルでは、巨大ガス惑星は原始惑星系円盤の進化の副産物で形成されるというものである。2007年度、2008年度は、このモデルに沿った数値計算を実行するために必要である素仮定を数値計算プログラムへと慎重に導入していった。今年度は、これまで開発を行ってきた数値計算プログラムを用いて、原始惑星円盤進化の数値計算を行った。 円盤外側では、宇宙線によってイオン化されたガスが磁場とカップルして不安定を起こし、大部分のガスは中心星方向へと落下する。一方、ガス密度の高い円盤内側ではガスはイオン化されず、ガスの落下は起こらない。そのため、円盤内側と外側の境界部分にガスが溜まる。 ガスが溜まっている領域はロスビー不安定を起こし、―時多数の渦を形成するが、ケプラーシアによって破壊されて、ガス密度のさらに大きいリング領域へと戻る。落下してくるガスによってリング内のガス密度は上昇を続け、今度は自己重力不安定によってリングは再び多数の渦へと分裂する。形成された渦は、落下してきたガスを中心星方向へと落下させ、円盤内側に第2のリングを形成する。第1のリングと同様に第2のリングでも自己重力不安定が効いてくるまでガス密度は上昇し続ける。重力不安定によって第2のリングも多数の渦へと分裂し、外側から流れてきてガスを、更に内側へと輸送し、第3のリングの形成が始まる。第2のリングは最初に形成された渦に摂動を与え、渦の合体成長を促し、巨大ガス惑星の質量を持つ渦が形成され、この渦が巨大ガス惑星へと進化する場合があることが分かった。
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