2008 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域センサーを用いた岩石の破壊成長にともなう弾性波減衰・弾性波速度の変化の検出
Project/Area Number |
19740280
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川方 裕則 Ritsumeikan University, 理工学部, 准教授 (80346056)
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Keywords | アコースティック=エミッション / 弾性波速度 / 弾性波減衰 / 岩石破壊試験 / 広帯域計測 |
Research Abstract |
地殻内部で発生する地震は, 断層においてせん断応力の高速低下をともなう破壊が高速に伝播する現象である. 実験室内では, この高速破壊に先行して, 比較的低速の応力低下をともなう破壊が低速で伝播する現象が見つけられていかる. この現象は, 地震のような不安定な破壊現象に先行して発生するため, その詳細を理解することは地震発生機構の理解において非常に重要である. 本研究では, 岩石試料を用いた三軸圧縮破壊試験において, 広帯域弾性波測定用センサーを用いて, 試料内を透過伝播する弾性波の計測を実施し, 破壊の成長にともなう弾性波伝播特性の変化について明らかにすることを目的とした. 本年度は, 平成19年度に集録された透過弾性波データの解析をおこなった. 1/40秒毎に矩形パルス送信し, 対応する透過弾性波が集録されたが, S/N比を向上させるために重合して解析に用いかた. それでもなお, 過去に例を見ない時間分解能を有する記録であり, 破壊進展に関連したP波の振幅と速度の変化が推定された. 破壊の進展につれて, 亀裂の生成が卓越するプロセスから, 亀裂の連結による断層面の形成が卓越するプロセスに遷移すると考えられているが, 後者においては, 圧縮軸方向に透過するP波の速度は変化せず, 振幅のみが変化することが明らかにされた. 本研究にて初めて実現された周波数解析からは, 300-400kHzという比較的低い周波数帯でのみ断層形成に伴う振幅の減少が認められた. 破壊先行プロセスのモニタリングの一手法としての有効性が示唆された.
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