2008 Fiscal Year Annual Research Report
海底地動水圧同時観測による海洋潮汐エネルギー散逸過程の検出
Project/Area Number |
19740282
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
杉岡 裕子 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (00359184)
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Keywords | 長周期重力波 / 海洋潮汐 / 広帯域海底地震観測 |
Research Abstract |
2004年から2008年に仏領ポリネシアおよび北西太平洋に展開した広帯域海底地震観測網のデータを解析したところ、周期50秒から100秒の長周期海洋重力波が海洋潮汐と共鳴しているという新しい事実を見出した。長周期海洋重力波の位相速度はその地点での水深で決まるが、これと海洋潮汐の等位相線の進む速度とは、ほぼ一致しており、そのような場合には共鳴が起こり大振幅で伝播することを明らかにした。このように共鳴現象の空間的発生条件は限られたものであること、即ち、海洋重力波と海洋潮汐の見かけ速度が同じ場所に限られることをしめした上で、時間的にもそれが限られたものであること、即ち、秋分および春分時にその現象が顕著であることを解析により示した。これは、長周期海洋重力波の発生メカニズムに対しても、新たな見知を提供できたという点で重要であると考える。一方、この結果は、海洋潮汐エネルギーの散逸メカニズムに対しても新しい見知を提供することが期待される。従来、深海底における海洋潮汐エネルギーの散逸機構としては、海底地形摩擦がその主たるものであると考えられていたが、今回の解析結果は、長周期海洋重力波の共鳴励起という全く新しいメカニズムを示唆している。 この解析と並行して、フレンチポリネシア海域のソサエテイーホットスポット近傍に、広帯域海底地震観測点9点(そのうち、2点に差圧式は庄力計を装備)を展開し、長期観測を開始した。ここは海洋潮汐エネルギーが大きい地域である。地震計と水圧計を用いた海底地動水圧同時観測は平成22年の回収まで続けられ、およそ1.5年の長期連続データを取得することになる。より詳細な共鳴メカニズムに資するものと期待される。
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