2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 貴洋 Kyushu University, 応用力学研究所, 学術研究員 (10422362)
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Keywords | 黒潮大蛇行 / 引き金蛇行 / 膠州海山 / 傾圧不安定 / データ同化 / 衛星海面高度計 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
(1) 流軸位置データを用いた過去の大蛇行流路形成時における「膠州海山効果」の検証 前年度 (平成19年度) に実施した、数値シミュレーションの計算結果から黒潮の流軸位置を抽出し、その時間発展を過去の大蛇行流路形成時のものと比較した。比較の対象として、2004年の大蛇行流路形成時については、衛星海面高度計データと漂流ブイデータを組み合わせて作成した高精度の流軸位置データを、1975、1981、1986、1989年の大蛇行流路形成時については、海上保安庁が作成し、海洋情報研究センターが数値化した流軸位置データをそれぞれ用いた。観測データが不足している1975、1981年については、膠州海山近傍での流軸の比較が不可能であったが、観測データが充実している1986、1989、2004年の流軸の時間発展は、数値シミュレーション結果と、特に膠州海山上において非常によく一致しており、過去の大蛇行流路形成時においても「膠州海山効果」が実在していた可能性がきわめて高いことが明らかとなった。 (2) 水温・塩分データを用いた「膠州海山効果」の検証 JCOPE (Japan Costal Predictabiity Experiment) 海洋変動予測システムにより得られた水温・塩分データを解析し、2004年の大蛇行流路形成時には、膠州海山直上において、深層の高気圧性の循環の発達と対応して、0.05度程度の有意な水温上昇が見られることが示された。日本海洋データセンターが収集し、海洋情報研究センターが品質管理を行った各層観測データセット(MODS2005)との比較を行ったが、膠州海山上での深層観測データが不足しており、確定的な結論は得られなかった。しかしながら、水温上昇量の0.05度については観測から十分検知が可能であり、将来の大蛇行流路形成時に、係留系による深層測流より安価な方法で「膠州海山効果」を検証する可能性が開かれた。
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Research Products
(4 results)