2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋深層の乱流混合パラメタリゼーションに向けた内部波平衡スペクトル形成過程の解明
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19740286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹羽 淑博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任准教授 (40345260)
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Keywords | 乱流混合 / 内部波 / 非線形相互作用 / 内部潮汐波 / 近慣性内部波 / 海洋内部波平衡スペクトル / 乱流パラメタリゼーション / 海洋深層大循環 |
Research Abstract |
高精度な海洋大循環モデルの構築には、大循環モデルで直接解像できないサブグリッドスケールの乱流混合過程のパラメタリゼーションが必要不可欠である。特に、海洋深層の等密度線を横切る方向の乱流混合はその強度の時空間分布どころかそのオーダーさえも完全には解明されていない。海洋深層の乱流混合は、スモールスケールの内部波が砕波することで引き起こされており、そのエネルギーは海洋内部波の普遍平衡スペクトルであるGarrett-Munk(GM)スペクトル中をカスケードダウンすることによって供給されている。 そこで本年度は、海洋深層の乱流混合パラメタリゼーションの基礎研究として、現実的な海底地形を組み入れた数値モデルに潮汐と風応力フォーシングを与え続けることによって、より現実に近い状況下でのGMスペクトルの再現を試みた。その結果、潮汐フォーシングと風応力フォーシングとを同時に与えた場合に限り、両フォーシングの強度の比によらずGMスペクトルが形成されることが明らかになった。特に鉛直低次モードの内部波が外洋中を10000km以上も伝播することにより、GMスペクトルの普遍的エネルギーレベルが維持されていることが示された。また緯度30度付近において、内部波間の三波共鳴相互作用の一つであるPSIを通じて効率的に内部波エネルギーがカスケードされる様子が再現された。さらに新たに開発したVery Large Eddy Simulation(VLES)モデルを用いて、内部波の砕波に伴う乱流混合過程を再現し、GMスペクトルのエネルギーレベルと乱流混合強度との関係を調べた。
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