2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740290
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 憲彦 慶應義塾大学, 法学部, 専任講師 (10402538)
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Keywords | 気象学 / 流体 / 気候変動 |
Research Abstract |
平成22年度は、ジェットから放射される大気重力波の理論解析及び数値実験により、以下の研究成果を得た。 1.浅水系における同軸回転する渦糸対からの重力波放射の理論解析 本年度は、昨年度に導出した、地球回転の効果を含んだ系における、同軸回転する渦糸対から放射される重力波の遠方場について、様々なパラメータにおける解析解の可視化を行い、その特徴を調べた。その結果、地球回転の効果を含む系では、重力波は分散性を持つのみならず、渦の非定常運動と地球の回転効果の大小関係により、その波長や伝播特性が変化することを示した。この成果をより複雑な3次元気候モデルに拡張できれば、ジェット等のより複雑な渦的な流れからの重力波放射についても、ソースを渦の集合として扱い、グリーン関数を用いた遠方場の解析的な導出によって、定量的評価が可能になることが期待される。 2.浅水系における同軸回転する渦糸対からの重力波放射の数値実験 また、上記1の研究で得られた成果を拡張するために、同じ枠組みにおける数値実験を行った。まず、数値モデルには、重力波の伝播方向に無限に広い円盤領域を持つf平面浅水系を用いた。最初に、得られた解析解と数値計算結果の比較を行い、数値モデルと解析解の整合性の評価を行った。そして、様々なパラメータにおける数値実験を行うことで、解析解の適用限界も明らかにした。また、高・低気圧渦からの重力波放射が、地球回転の効果により非対称性を持つことを示した。今後は、より一般的な渦的な流れについて、そこからの重力波放射を評価していく予定である。これらの成果は、国際学会発表1件、国内学会発表2件で公表し、原著論文を投稿準備中である。 また自然科学の教育に関連する活動成果として、紀要論文1報も公表した。
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