2008 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法と4次元変分法を組み合わせた新しいデータ同化手法の開発
Project/Area Number |
19740292
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 洋一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70335298)
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Keywords | データ同化 / 4次元変分法 / アンサンブル法 / 非線形問題 / 生態系モデル / 境界層モデル |
Research Abstract |
昨年度より海洋生態系モデルをターゲットとして、アンサンブル法を応用した新しいデータ同化システムを構築してきたが、本年度はその結果をふまえさらに開発を進めることにより、アンサンブル4次元変分法のプロトタイプを完成させた。この手法は評価関数の定義などは従来の4次元変分法と同じであり、過去の様々な知見を活かしながら、いわゆるadjoint法では難しかった強非線形モデルに適用した場合でも、正確な勾配から最適解を求めることが可能であることを示すことができた。この手法はアンサンブル法を用いて評価関数の勾配を求めているため、粒度の粗い並列化が可能なので今後主流となる高性能コンピューターと相性が良く、またadjoint法を導入する際の大きなハードルであるadjointモデルを作成する必要がないという利点もあるが、現在の計算手法では従来のadjoint法の数倍から10倍程度の計算量が必要であり、計算量の削減は今後の課題である。 計算量の削減はより複雑かつ現実的なモデルに適用するためには、より重要になってくるので、昨年までは海洋生態系モデルをターゲットとしたデータ同化システムを構築してきたが、新しく境界層モデルの一種である海洋混合層モデルを対象としたデータ同化同化システムの構築も進めた。このモデルはシンプルな1次元モデルではあるが、空間方向に隣接したグリッド間で変数の相関がかなり大きくなることが期待でき、このことを利用して計算量の削減を行うことが可能という点で現実的な大循環モデルにそのまま適用可能な計算手法を開発することを目的とするものである。現在、プロトタイプが完成したところであり、計算手法の開発、改良は来年度の課題としたい。
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Research Products
(4 results)