2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯降水システムに伴う潜熱加熱の大気大循環への影響に関する研究
Project/Area Number |
19740296
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
重 尚一 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 助教 (60344264)
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Keywords | 気象学 / 気候変動 / 大気現象 / 熱帯降水 / 大気大循環 |
Research Abstract |
本研究の目的は,熱帯降水システムに伴う潜熱加熱構造が大気大循環に与える影響を理解である。Schumacher, et. al. (2004)は熱帯降雨衛星(TRMM)搭載の降雨レーダ(PR)テータから推定した潜熱加熱を大気大循環モテルに入力した熱源応答実験を行ったが,平均的な対流性・層状性加熱鉛直分布を仮定して推定しているため,地域,季節的な対流性加熱プロファイルの違いを考慮に入れていなかった。本研究は,PRの鉛直情報を積極的に活用するSpectralLatent Heating (SLH)アルゴリズム(Shige, Takayabuetal 2004)によって,鉛直分布に関する精度の高い3次元潜熱加熱のデータセットを作成・解析し,さらに簡略化した大気大循環モデルに入力して,グローバルな大気の応答を調べる。平成19年度は,1997年11月のTRMM打上げ以来約10年の3次元潜熱加熱のデータセットを作成した。その結果,下層(高度2 km)における加熱の地域的変化など,浅い対流と深い対流の潜熱加熱の違いが推定できるSLHアルゴリズムによって初めて得られる潜熱加熱の特徴を見いだした。一方,熱源応答実験に利用する大気大循環モデルとして惑星大気モデルDCPAM (Dennou-Club Planetary Atmospheric Model)を選定し,加熱応答実験を開始した。また,SLHアルゴリズムを改良してグローバルなTRMM PRデータから潜熱加熱プロファイルを推定した論文(Shige, Takayabu, et. al. 2007),ならびにSLHアルゴリズムから見かけの水蒸気消失源プロファイルを求める論文(Shige, Takayabu, et. Al. 2008)を出版した。
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