2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯降水システムに伴う潜熱加熱の大気大循環への影響に関する研究
Project/Area Number |
19740296
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
重 尚一 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 助教 (60344264)
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Keywords | 気象学 / 気候変動 / 大気現象 / 大気現象 / 熱帯降水 / 大気大循環 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱帯降水システムに伴う潜熱加熱構造が大気大循環に与える影響を理解である。Schumacher et al. (2004)は熱帯降雨衛星(TRMM)搭載の降雨レーダ(PR)データから推定した潜熱加熱を大気大循環モデルに入力した熱源応答実験を行ったが、平均的な対流性・層状性加熱鉛直分布を仮定して推定しているため、地域・季節的な対流性加熱プロファイルの違いを考慮に入れていなかった。本研究は、TRMM PRの鉛直情報を積極的に活用するSpectral Latent Heating (SLH)アルゴリズム(Shige, Takayabu el al. 2004, 2007)によって、鉛直分布に関する精度の高い3次元潜熱加熱のデータセットを作成・解析し、さらに簡略化した大気大循環モデルに入力して、グローバルな大気の応答を調べる。平成20年度は、惑星大気モデルDCPAM (Dennou-Club Planetary Atmospheric Model)を用いて、再解析データから計算された風速等を与えた基本場の下で季節平均した潜熱加熱プロファイルが駆動する熱源応答実験に成功した。その結果、Schumacher el al. (2004)では見られていない浅い子午面循環の構造が、観測研究(Zhange et al. 2004, 2006 ; Nolan et al. 2007)と同じく、背の低い対流に伴う浅い潜熱加熱プロファイルが卓越する東太平群において見られた。さらに、再解析データで見られた浅い子午面循環の年変化の構造(Zhang et al. 2008)と比較するため、月別に解析・作成した潜熱加熱プロファイルを用いた実験も行った。
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