2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯降水システムに伴う潜熱加熱の大気大循環への影響に関する研究
Project/Area Number |
19740296
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重 尚一 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (60344264)
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Keywords | 気象学 / 気候変動 / 大気現象 / 熱帯降水 / 大気大循環 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱帯降水システムに伴う潜熱加熱構造が大気大循環に与える影響を理解である。Spectral Latent Heating (SLH)アルゴリズム(Shige, Takayabu et al. 2004, 2007, 2008, 2009)ならびにConvective Stratiform Heating (CSH)アルゴリズム(Tao et al. 1993, 2000, 2010)によって熱帯降雨衛星搭載降雨レーダ(TRMM PR)データから推定された3次元潜熱加熱のデータセットを作成・解析し、簡略化した大気大循環モデルに入力して、熱帯大気の応答を調べる。平成21年度は、SLHアルゴリズムならびにCSHアルゴリズムによる10年間(1998年~2007年)のデータから月別に作成した潜熱加熱プロファイルに対する応答を調べた。東太平洋上ならびに西アフリカ上で観測されている南北風の浅い子午面循環の構造(Zhang et al. 2008)と比較したところ、東太平洋では良い一致を示す一方、西アフリカでは不一致を示していた。海上では、降水に伴う潜熱加熱が浅い子午面循環の主要因だが、陸上では、降水に伴う潜熱加熱だけでなく、陸面からの顕熱の影響が大きいためである。このため、東太平洋の浅い子午面循環に着目して再解析データと比較した。NCEP-NCARならびにNCEP-DDE-AMIP IIにおける浅い子午面循環は非常に弱い一方、ERA40では浅い子午面循環が存在するが、500hPaまで達する非常に深い構造になっている。熱帯海洋上では、再解析データの拘束条件となる観測が得られないことが原因と思われる。これに対し、SLHならびにCSHの潜熱加熱プロファイルに対する応答は700hPaまでの非常に浅い構造で、観測値とより良い一致を示していた。
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Research Products
(1 results)