2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740297
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
山根 省三 Chiba Institute of Science, 危機管理学部, 講師 (10373466)
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Keywords | 気象学 / 大気現象 / 予測可能性 / 不安定 / アンサンブル / 大気大循環モデル / リアプノフ指数 / 階層構造 |
Research Abstract |
比較的高解像度(T159L48:水平80km、鉛直48層)の大気大循環モデルを用いて成長モード育成法(Toth and Kalnay 1993,1997)の数値実験を行ない、モデル内で自励的に発達する摂動の特徴について調査した。2006年の海面水温と海水分布の観測値をモデルの境界条件とし、一つの長期ハインドキャストを成長モード育成法の基準解とした。成長モード育成法の規格化の大きさが小さく(全エネルギーノルムにおいて誤差の大きさが0.5m/s)、サイクルの時間間隔が短い(6時間毎)場合、摂動の成長率は大きく(約0.8日で誤差の大きさがe倍となる)、熱帯の対流活動に関係した摂動の発達が卓越する。この摂動は、摂動の全エネルギーにおける湿潤エネルギーの割合が比較的大きいという特徴がある。一方、規格化の大きさが大きく(誤差の大きさが4m/s)サイクルの時間間隔が長い(24時間毎)場合、摂動の成長率は小さく(約3日でe倍)、中緯度帯の傾圧波動に関連した摂動の発達が卓越する。この摂動は、力学的エネルギーの割合が大きい。以上の結果は、同じモデル内で発達する摂動の構造が摂動の大きさやサイクルの時間間隔に依存すること、すなわち、摂動の発達の非線型性を示唆している。このような数値実験を通して有限振幅の摂動の発達の特徴を定量的に把握することにより、対流不安定や傾圧不安定など階層的不安定構造を持つ現実大気の振る舞いをより深く理解することができると考える。
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