2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンサンブルカルマンフィルタを用いた大気微量成分同化システムの構築
Project/Area Number |
19740300
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 和幸 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロテイア研究センター, ボストドクトラル研究員 (30435838)
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Keywords | データ同化 / 大気微量成分 / 化学輸送モデル / オゾン / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
本研究は,高度な同化手法であるアンサンブルカルマンフィルタ(EnKF)を用いて大気微量成分の高精度なデータ同化システムを構築することを目的とする。この目的のために,本年度は,EnKFを用いて大気の観測値を大気大循環モデルに同化するシステムを構築した。解析誤差共分散行列の作成には平方根フィルタを適用し,予報のアンサンブル摂動から解析のアンサンブル摂動を作成した。モデル誤差がないと仮定した完全モデル実験を実施し,基本的な動作確認を行った。EnKFで作成した大気場を化学輸送モデルの輸送計算に与え,従来のナッジング手法との比較実験を実施した。比較実験から,大気場のデータ同化手法が大気微量成分の再現性に及ぼす影響を明らかにした。EnKFにより作成した大気場を輸送計算に用いることで,特に渦擾乱による輸送過程を改善し,大気微量成分の再現性を向上することが分かった。この影響は特に大規模な大気擾乱が卓越する対流圏中高緯度で顕著であった。これまでの大半の大気微量成分シミュレーションではナJジングにより作成された大気場を使用しており,本研究により得られた結果は広く大気化学研究に貢献するものである。また,物理的に整合性のある流れ場を反映することで,従来の手法では大きな問題があった熱帯上空での鉛直運動による物質輸送過程をより現実的に表現可能となった。この改善により,全球バジェットに重要な影響を及ぼす熱帯上部対流圏・下部成層圏での厳密な輸送過程の表現が望める。一方,構築した同化システムから大気場と二酸化炭素の全球分布を作成し,詳細な輸送解析を実施し,大気大循環および炭素循環の観点から対流圏全域における二酸化炭素濃度変動機構を明らかにした。
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Research Products
(4 results)