2008 Fiscal Year Annual Research Report
複数衛星観測による深内部磁気圏の磁場構造変化とイオン組成変化に関する研究
Project/Area Number |
19740303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
能勢 正仁 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (90333559)
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Keywords | 地球電磁気学 / 内部磁気圏 / 磁場双極子化 / イオン加速 / 酸素イオン |
Research Abstract |
この研究は、静止衛星軌道高度より内側を飛翔する人工衛星(MDS-1衛星、Cluster衛星)による磁場・粒子データ、およびIMAGE衛星によるリングカレント粒子の撮像データを解析し、「磁気嵐時における内部磁気圏の磁場構造の変化とそれがリングカレントイオン組成の変化に及ぼす影響」を明らかにすることを目的とする。具体的には次のような研究課題を設定し、それぞれの設問の解決を目指す。研究課題(1)サブストームに伴う磁場双極子化は、内部磁気圏のどの程度内側まで観測されるのか? (2)磁場双極子化が、磁気嵐中にリングカレント領域においても起こりうるのなら、その時の粒子加速はイオン種依存性があるのか? 研究課題(1)については、2002年の2月から12月の期間にMDS-1衛星が静止衛星軌道より内側で観測している時間帯に注目した。その結果、L=3-4の深内部磁気圏領域であっても磁場双極子変化が頻繁に観測されることを確認した。また、磁場双極子化に伴って現れる擾乱は5-12秒の特性周期を持っており、これは酸素イオンのジャイロ周期と同程度であることを見出した。引き続いて研究課題(2)の解決のために、IMAGE衛星HENA撮像器で観測されたリングカレント領域の粒子フラックスを調べたところ、酸素イオンのほうが水素イオンに較べて大きく変化していることが分かった。これは、上で見出した5-12秒の特性周期を持つ磁場の擾乱成分がイオンの非断熱的加速に大きな役割を果たしており、イオン種依存性を生み出していることを示唆している。
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