2008 Fiscal Year Annual Research Report
高マッハ数無衝突衝撃波における散逸機構としての微視的不安定性
Project/Area Number |
19740304
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松清 修一 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 助教 (00380709)
|
Keywords | 無衝突衝撃波 / 微視的不安定性 / 電子加熱 / 衝撃波再形成 |
Research Abstract |
地球磁気圏衝撃波や惑星間空間衝撃波の典型的なパラメータ域において、準垂直衝撃波遷移層における微視的不安定性が衝撃波の散逸過程に及ぼす影響のうち、電子加熱効率およびリフォーメーション過程の詳細への寄与を議論した。 H.19年度は、遷移層での電子加熱の飽和値を、過去の文献(McBride et al. [1972])に習って幾つかの極端な仮定を施した準線形解析によって議論したが、H.20年度はより一般化した解析を行い、結果を1次元PICシミュレーションと比較した。PICシミュレーションでは、比較的低マッハ数(M_A≦10)の衝撃波では変形2流体不安定性(MTSI)が支配的となり、この場合電子加熱の飽和値はマッハ数にあまり依存しないこと、高マッハ数域(M_A≧10)ではBuneman不安定性(BI)が支配的となり、電子加熱の飽和値はマッハ数とともに上昇することが示された。これに対して、一般化した準線形解析はMTSIのマッハ数依存性をよく説明することが分かった。BIについては、捕捉理論がPICシミュレーションの結果をよく説明するとの結論を得たため、今後両者を比較することでマッハ数による電子加熱機構の変遷を理解することができると期待する。 一方、PICシミュレーションによって、不安定性によるイオンの運動の乱され具合が、リフォーメーション過程の詳細やその時間・空間スケールにも大きな影響を与えることを示した。遷移層におけるイオンの振る舞いのコヒーレンスの度合いにより、少なくとも3つの異なるタイプのリフォーメーション過程が存在することが分かった。 以上の結果は、遷移層における微視的不安定性と衝撃波の散逸過程が不可分の関係にあることを強く示唆するものである。
|
Research Products
(11 results)