2009 Fiscal Year Annual Research Report
地形・地層発達過程のマルチスケール干渉現象:流路発達モデル実験の時系列相関解析
Project/Area Number |
19740313
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
遠藤 徳孝 Kanazawa University, 自然システム学系, 助教 (60314358)
|
Keywords | 室内地形発達実験 / モデル実験 / 地層形成 |
Research Abstract |
河川流路変動に関する室内モデル実験を行なった。画像処理により、流路変動の時間特性を統計的に調べた。扇状地上で流路は比較的ランダムに流れを変えるように見えるが、ある程度、時間・空間的な相関が見られた。力学的な考察は今後の課題であるが、それに先立って、数理確率モデルを考察した。ここでは将来的に、長時間の実河川の変動について検証可能なように、地層への応用を想定した。地層における同時間面は堆積当時の地表面(古地形)を示しており、通常、地層はあるユニット(単位)の集合と見なせる。各層の厚さ(層厚)は地質学的に重要な量と見なされているが、ここでは、もし侵食が起きなければ層の厚さは流路が同位置に留まっていた期間に比例すると仮定する。もし、侵食が起きればその期間に比例した分だけ層は削られ薄くなるとする。Kolmogorov(1951)は、順問題的な確率論的考察により、ある与えられた確率分布で発生する堆積・侵食量の関数から、確率的に堆積及び侵食が繰り返された後に結果として保存される地層の層厚分布が一意的な解として求まることを示したが、逆問題に関しては言及していない。そこで、Kolmogorov (1951)の逆問題について数学的に考察を行い、ある条件の下で求解が可能であることが分かった。 予察的実験としては、流路のダイナミクスについて、水系網のアナロジーであるrhomboid rillの水理実験を行い、発達過程を観察した。その結果、流れの方向ははじめランダムで、時間とともに選択されることが分かった。即ち、リルのサイズ(深さ)と方向性は同時に発達する。この点は、リップルのように、クレストライン(もしくはトラフライン)の方向が初めから定まっているのとは対照的である。
|