2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストロマトライトの生物起源に関する定量的評価のための幾何学的形状解析法の研究
Project/Area Number |
19740319
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
勝田 長貴 Gifu University, 教育学部, 准教授 (70377985)
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Keywords | ストロマトライト / 先カンブリア時代 / 生命と地球の共進化 |
Research Abstract |
ストロマトライトという堆積岩は、シアノバクテリアなどの微生物の皮膜に砂泥が付着して形成されたものであり、生命の初期進化を探る重要な物証とされてきたが、最近になって生物作用で形成されたどうかを巡り、議論が巻き起こっている。こうした議論の中心は、ストロマトライトの縞状構造の幾何学的形状に対する見方にある。鉛直方向にどこでも縞の厚さが同じ場合には、微生物の皮膜に上から沈降してきた砂泥が付着し形成されたという生物起源を支持する証拠のひとつとなりうる。一方、無機化学的に沈殿した場合には、海水と接触する部分で縞が成長するため、一枚の縞はどこでも縞に対して垂直方向に一定の厚さになるように成長する。 ストロマトライトめ形状に関する研究は、これまで、ある特定の向きの露頭の風化面や薄片試料を観察し、縞状構造の厚さ分布の特徴を定性的に記載していたにすぎない。これに対して、本研究は、三次元的に縞状構造の厚さを定量的・数値的に評価する手法を開発し、実際にドーム状ストロマトライト試料の解析を行った。 三角錐状の縞状構造は、成層構造とは異なり、鉛直方向と法線方向で異なる厚さを示す。このため、その画像データを三次元的に取得する必要がある。まず、ストロマトライト岩石試料を等間隔に数枚に切断し、試料切断面の元素分布の画像を走査型蛍光X線分析顕微鏡により取得した。得られた元素分布画像を基に、2方向の縞の厚さを決定する画像解析アルゴリズムを構築した。結果、解析したストロマトライトの縞模様は、鉛直方向にほぼ一定の厚さを示すのに対して、法線方向には、円錐状の縞状構造の頂上部分で最大となり、頂上部から離れるに従って一定の値を示すことが明らかとなった。こうした縞の厚さ分布は、解析したストロマトライトが、生物作用の関与によって形成されたことを支持する結果となった。
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