2008 Fiscal Year Annual Research Report
堆積岩の鉛同位体組成からみたオントンジャワ海台火成活動と海洋無酸素事変の関連
Project/Area Number |
19740321
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
黒田 潤一郎 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 研究員 (10435836)
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Keywords | 白亜紀 / 海洋無酸素事変 / 巨大火成岩区 / 鉛同位体比 |
Research Abstract |
前期アプチアンにおきた海洋無酸素事変OAE-1aの時期が、地球最大規模の洪水玄武岩であるオントンジャワ海台の形成時期に近いことから、洪水玄武岩の火山活動が海洋環境を変化させてOAE-1aの原因となったと提案されてきた。しかし、両者の関連についての証拠は得られていない。本研究では鉛同位体という新しい古環境指標により両者の関連について議論することを目的とする。平成19年度は実験環境の整備や試料採取に努め、平成20年度にはデータの取得に努めた。この結果、OAEが始まる約30〜50万年前にグローバルに鉛を放出する火山イベントがあったことが明らかになった。先行研究のオスミウム同位体記録と併せて検討したところ、1)OAEが始まる30〜50万年前に陸上噴火が起こり、地球規模でマントル由来の鉛とオスミウムの放出が起きた、2)OAEとほぼ同時期にマントル由来のオスミウムだけが大量に放出される火山活動があった、ことが明らかになった。前者は世界規模の海洋石灰質ナノプランクトンの群集組成の変化に、後者は海洋無酸素イベントにほぼ同期していることが明らかになった。オントンジャワ海台の活動史と照らし合わせると、前者はオントンジャワの一部と考えられるマニヒキ海台を形成したsubaerialな噴火活動と、後者はオントンジャワのメインボディーを形成したdeep submarine火山活動と関連が深いと考えられる。本研究は、様式の異なる2回の大規模火山活動がOAEの数10万年前とOAEと同じ時期に起き、そのそれぞれが海洋生物・海洋環境イベントと関連していることを明らかにした点、結果的にオントンジャワ海台の活動史を堆積岩の分析から明らかにすることができたという2つの点で、非常に画期的といえる。また、この成果を年度内に国際誌に投稿することができたことも特筆に値する。
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Research Products
(6 results)