2009 Fiscal Year Annual Research Report
極限領域変成岩中の硫化鉱物が記録する形成時期・示強変数情報・起源の解明
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19740326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河上 哲生 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (70415777)
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Keywords | 硫化鉱物 / 超高圧変成岩 / エクロジャイト / 新鉄性元素 / 親銅性元素 / 圧力依存性 / リン酸塩鉱物 / ザクロ石 |
Research Abstract |
(1) 北中国ツァイダム(Qaidam)に産するエクロジャイト中の硫化鉱物について、ピーク圧力時に加え、次の2段階の減圧減温過程における硫化鉱物の挙動を読み取ることに成功した。(1)ザクロ石中に包有されるものは、現在は磁硫鉄鉱+コバルトを含むペントランド鉱+issや磁硫鉄鉱+コバルトを含むペントランド鉱の組合せを示すが、それを一相に復元した組成が超高圧変成時に安定だった硫化鉱物組成であると考えられる。そのため、超高圧時(コース石安定領域)には鉄・銅・ニッケル・コバルトが一緒に挙動していたと推察される。(2)オンファス輝石中に包有される硫化鉱物は時に輝石内で「爆発」していることがあり、銅を含む硫化鉱物が他の硫化鉱物の集合体から「飛び散って」いる。これは超高圧からの減圧時に硫化鉱物のうち銅を含む相が分相するなどして体積増加しそれがホスト鉱物である輝石を破壊した組織であると理解できる。この組織は、減圧の過程で、銅が新鉄性から親銅性の挙動に変化したことを示唆する。(3)岩石のマトリクス中では、後退変成期の角閃石に取り囲まれた硫化鉄などが産するが、その周囲には銅硫化物に加えコバルトやニッケル硫化物が分布しており、(2)の段階以降にコバルトやニッケルも独自の挙動をはじめたことを示唆する。以上の観察は、硫化鉱物とその中に含まれる元素の挙動が従来考えられた温度だけでなく、圧力にも支配されている証拠かもしれない。この成果を学会発表した。(2)高温変成岩中のリン酸塩鉱物の挙動とザクロ石中のリンの累帯構造の成因関係についての論文を執筆・投稿し、受理された。また、高温変成岩中の副成分鉱物の消長に関する一連の研究成果を学会発表した。
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