2008 Fiscal Year Annual Research Report
純イオンプラズマによる加速器ビームの非線形共鳴に関する実験的研究
Project/Area Number |
19740344
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 清一 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (70335719)
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Keywords | 非中性プラズマ / ビーム物理 / 空間電荷効果 / 共鳴不安定性 / 線形ポールトラップ / Microchannel plate |
Research Abstract |
本研究は, 線形ポールトラップ(LPT)に捕捉した高密度のイオンプラズマを用いて大強度ビームの共鳴現象に空間電荷効果がどのような影響を与えるかを実験的に研究することを目的とした. 実験に用いるLPTシステム, 密度分布計測システムの開発及び予備実験は昨年度までに終了している. 本年度は, このシステムを用いて実験を行い, 主に以下の二つの成果を得た. 1. 画像計測によるチューンデプレッションの決定 昨年度までに整備した蛍光面付きMCPとCCDカメラによる分布計測システムを用い, イオンプラズマのチューンデプレッションを計測する方法を確立した. その特徴は, 単一のプラズマショットからチューンデプレッションを決定することが可能な点である. 通常用いられる共鳴条件のずれからこれを評価する方法に比べ, この方法では測定時間を格段に短縮することが可能であり非常に有用である. これらの成果をまとめ学術誌に発表した. 2. 摂動場印加による「より現実的な加速器」の再現と集団運動に起因する共鳴の発生 円形加速器では収束・発散の組み合わせからなるセル(LPTのrf一周期に相当)が複数個集まって超周期構造を作る. 従って, 加速器ではセルと超周期構造のそれぞれに起因する共鳴現象が発生する. 本研究では閉じ込め用rf周期の整数倍の摂動場を加えることでこの超周期構造をLPT内に再現することに成功した. その結果, 通常のLPTでは共鳴が生じない条件下でも強い共鳴が観測された. プラズマ密度が低い場合には, この共鳴条件は加速器の単粒子軌道モデルからの予測とよく一致する. 一方, プラズマの密度が高い場合には, イオンプラズマの集団運動に起因するとはえられる共鳴も観測された. これはイオンプラズマによる大強度ビーム模擬実験が有用であることを示している. この成果は学術誌に投稿中である.
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Research Products
(7 results)