2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740350
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長谷川 登 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50360409)
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Keywords | プラズマ物理 / X線レーザー / 偏光制御 / 強磁場発生 / X線分光 |
Research Abstract |
本研究は、日本原子力研究開発機構で開発されたX線レーザーを円偏光化することを目的としている。円偏光X線レーザーは、物質の構造解析用の光源として有望である。通常のX線レーザーは高温高密度のレーザープラズマを媒質とする為、ほぼ無偏光である。ニッケル様イオン(プラズマ)を用いたX線レーザー媒質が特定方向の強磁場下に置かれた場合、レーザー遷移線がゼーマン効果により分離する事が予測される。分離したレーザー線は、それぞれ右回りと左回りの円偏光を有するため、高分解能分光器を用いる事で、円偏光のX線レーザーを選択的に抽出する事が可能である。 平成20年度は、平成19年度に開発したパルス強磁場発生装置を用いて、X線レーザーの円偏光化を試みた。X線レーザー媒質(ニッケル様モリブデン : 発振波長18.9nm)をパルス強磁場発生装置により発生した強磁場下(15テスラ)に設置する事により、世界で初めて発振線の波長分離の観測に成功した。これにより、非常に輝度の高い円偏光のコヒーレントX線(1e+10光子以上/1ショット)が物質の構造解析用の光源として利用が可能となると期待される。また、観測された発振線の分離量が、磁場強度から予想される値と比較して非常に大きい(約10倍)ことから、X線レーザー媒質中において磁場が圧縮されている事が予想される。レーザープラズマ中における磁場の圧縮は今までに直接観測の例が無く、本研究により得られた結果は、磁場圧縮機構が重要視される天体プラズマの分野への応用も期待できる。
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Research Products
(5 results)