2007 Fiscal Year Annual Research Report
強光子場クーロン爆発による実時間分子軌道イメージング
Project/Area Number |
19750014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
伏谷 瑞穂 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 助教 (50446259)
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Keywords | 強光子場 / クーロン爆発 / 分子軌道イメージング |
Research Abstract |
分子内クーロン場に匹敵する強レーザー場中におかれた分子は複数電子の放出によるイオン化やクーロン反発による解離,クーロン爆発を起こす。イオン化の確率が電子密度に依存する場合には,解離イオンの運動量分布にはクーロン爆発前の分子軌道の形状が反映される。本研究ではこのクーロン爆発を利用した分子軌道イメージング法に基づいて,超高速に変化する分子の核波束と分子軌道との相互ダイナミクスに関する詳細な知見を得ることを最終的な目的とする。本年度はまず,超高速現象追跡のための光学系の構築および非時間依存分子軌道イメージング計測を行なった。以下に主に得られた成果を示す。自己フィラメンテーションによるスペクトルの広帯域化およびチャープミラーによるパルス圧縮を用いた高強度サブ10フェムト秒レーザーパルスの発生実験を行なった。その結果,35フェムト秒の時間幅を持つレーザーパルスからビーム品質のよい,時間幅9.5フェムト秒,出力500μJ/pulseのレーザーパルスを得た。NO分子に〜1x10^{14}W/cm^{2}の高強度サブ10フェムト秒レーザーパルスを照射し,解離性イオン化によって生じたN^{+}イオンを計測したところ,N^{+}イオンの運動量分布はレーザー偏光方向に対して45度方向にピークをもつX型の形状を示した。このことは,得られたN^{+}イオンの運動量画像がNO分子の電子基底状態の分子軌道を反映していることを示すものである。現在,深紫外領域まで波長可変な超短パルスの光学系を構築中であり,深紫外超短パルスを用いて分子の電子励起状態における分子軌道の測定も行なう予定である。
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