2008 Fiscal Year Annual Research Report
強光子場クーロン爆発による実時間分子軌道イメージング
Project/Area Number |
19750014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
伏谷 瑞穂 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 助教 (50446259)
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Keywords | 強光子場 / クーロン爆発 / 分子軌道イメージング |
Research Abstract |
本研究ではクーロン爆発を利用した分子軌道イメージング法の開発を行い, これに基づいて超高速に変化する分子の核波束と分子軌道との相互ダイナミクスに関する詳細な知見を得ることを目的とする。解離イオンの運動量分布からクーロン爆発前の分子軌道の形状を高精度で観測するためには, 核運動による電子状態変化を最小限に抑えるための十分高い時間分解能を有するプローブ光源でイオン化を行う必要がある。この条件を満たすために, 昨年度にひきつづき, 超高速現象追跡のための光学系の開発・改良を行った。フーリエ限界で10フェムト秒以下の超短パルスを得るためには, 高次分散の影響を考慮する必要がある。そこで, パルス圧縮における高次分散を補償するため, 3次までの分散を考慮したチャープミラーの開発・設計を行った。実際にこのチャープミラーを用いてパルス幅を計測したところ, ほぼフーリエ限界であるパルス幅サブ7fsの超短パルスを得ることができた。また, 電子励起状態に励起するための波長可変システムを構築し, 可視から近紫外線領域(〜220nm)までの超短パルスの発生に成功した。一方, 実時間計測のための調整実験の一環として, 波長400nmの紫外光ポンプパルスを用い, 臭素分子の解離性電子励起C状態における核ダイナミクスの実時間測定を行った。C状態に生成された振動核波束は約100フェムト秒の時間スケールで解離を起こし, 波束ダイナミクスのシミュレーション結果とも良い一致を示した。現在, 電子励起状態の分子軌道イメージングおよび単分子反応等における分子軌道イメージングの実時間計測を試みているところである。
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