2007 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザー駆動X線ダイオードを用いた時間分解蛍光X線測定装置の開発
Project/Area Number |
19750015
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 秀尚 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (60446408)
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Keywords | X線発生 / パルスX線 / レーザー駆動X線源 / X線分光 / レーザープラズマ / プラズマ発光分光 |
Research Abstract |
本研究課題では全2年間で時間分解蛍光X線分光計測システムを開発することを目標とする。初年度にあたる本年度はレーザー駆動パルス硬X線源を開発した。さらに,このX線源を時間分解蛍光X線分光計測システムに利用する上で重要である,パルス特性の評価およびパルス発生機構の解明を実施した。 開発したX線源はX線管とフェムト秒レーザーを合わせたもので,パルスレーザー照射によってX線管陰極(銅,接地)で発生した電子が加速され,陽極(銅,〜50kV)でパルスX線を発生する。パルスX線スペクトル評価のために構築した波長分散型X線分光システムによって,主に銅の特性X線(Cu Kα)が発生していることを確認した。さらに,(1)X線ストリークカメラによるX線フォトン数評価,(2)NaIシンチレーション計測によるX線パルス強度評価,(3)BaF_2シンチレーション計測によるX線パルス時間特性評価,の手法を確立した。これらの手法を用いて,X線パルス特性のレーザー照射条件依存を調べた。 レーザーフルエンスを増加させた場合,0.2J/cm^2を閾値としてX線フォトン数は10^5から10^9 photons/4πsr/pulseへ,またX線パルス幅は2ns以下から80ns以上へと,それぞれ劇的に変化した。高輝度化と幅広化の機構を解明するために,閾値以上のフルエンスで生成する銅プラズマの発光分光分析を行った。その結果,(1)レーザープラズマが生成した後,プラズマ粒子はX線管電圧の静電エネルギーを得て衝突励起していること,(2)この静電場によるプラズマ励起過程はX線発生と同様〜100nsの時間スケールで起こっていることがわかった。以上より,X線管陰極で生成したプラズマの静電遮蔽が徐々に壊れることによって,プラズマ内の電子が衝突過程を引き起こすと同時に,電子の一部は陽極に加速されX線を発生するという機構が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)