2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合的シミュレーション手法を用いた酵素機能の理論予測
Project/Area Number |
19750021
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 豊和 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計算科学研究部門, 研究員 (70443166)
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Keywords | 電子状態計算 / 分子動力学計算 / QM / MM法 / 自由エネルギー計算 / 酵素反応 / Chorismate Mutase / FMO 法 |
Research Abstract |
大規模高精度な量子化学計算と分子動力学計算を組合せた複合シミュレーション技術を基盤として,タンパク質の構造機能相関を明らかにする事を目的とした研究を行った.特に触媒機能を持つ酵素の作用機構を分子レベルで明確にする事を目標とし,計算の基礎となるQM/MMプログラムの機能拡張と具体的な実在系への適用計算を平行して行なった. 1 QM/MMプログラムの整備,機能拡張: これまで作成して来たプログラムをもとに機能拡張を続け,QM領域が百原子程度,MM領域が5万原子弱程度のシステムに関しては,RHF/6-31*レベルの計算でエネルギー計算,構造最適化,(伝統的な反応経路モデルの範疇での)反応経路計算が安定に実行できるよう整備した.現時で数万原子系のナノ秒オーダーのQM/MM MDの実行は現実的ではないので,代わりに反応経路に沿ってシミューションを実行し,サンプルされた構造に対して多数回のQM/MM計算を実行して物性やエネルギー成分の統計解析が可能となる様に整備拡張した. 2 具体的な系への応用計算: 過去に多くの理論計算のなされたChorismate Mutaseを取り上げて,QM/MM計算による反応経路のモデリングとフラグメント(FMO)法を組合せた階層的な解析手法を提案し,酵素反応過程におけるタンパク質環境の静電場の効果を特に詳細に検討した.QM/MMレベルのサンプリング計算を実行して構造ど電場の揺らぎの程度を見積もり,反応経路モデ生の妥当性を確認した後に,FMOレベルのエネルギー成分解析からタンパク質内での静電相互作用の強さや分極の程度を評価した.この反応系においては,遷移状態の静電相互作用による安定化の寄与大きい事を改めて定量的に示した.
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Research Products
(4 results)