2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750025
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土屋 敬広 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (10375412)
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Keywords | フラーレン / 金属内包フラーレン / 錯体 / 超分子 / 磁性 / 伝導性 |
Research Abstract |
本研究は金属内包フラーレンと有機ドナー分子を鍵物質とする磁性及び伝導性を併せ持つ超分子系の構築を目標とし、検討を行ってきた。金属内包フラーレンは金属原子から炭素ケージへの電子移動により、空フラーレンとは異なる新規な電子的特性を持つ。その結果、空フラーレンよりも優れた電子受容性、供与性を示し、さらに磁性化、反磁性化の制御も容易である。金属内包フラーレンと有機ドナー分子との複合系は、金属内包フラーレンが持つ非常に高いHOMOと低いUMOに由来する高い導電性と磁気的な分子間相互作用による磁性特性の両方の出現が期待できると確信する。 平成19年度はLa_2@C_<80>と有機ドナー分子N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-p-phenylenediamine,TMPD)との溶液中での挙動について検討を行った。その結果、La_2@C_<80>ラジカルアニオンとTMPDラジカルカチオンの生成が確認され、基底状態でも電子移動を伴い1:1の錯体を形成することが分かった。興味深いことに、この電子移動は完全な平衡状態にあることから溶媒の誘電率や温度を変化させることによって平衡が偏り、電子移動を可逆的にコントロール出来ることが明らかとなった。このような基底状態における可逆電子移動の発現は非常に低い還元電位を有し、且つ還元体が安定な常磁性金属内包フラーレン特有の現象である。
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